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癌と父と包丁 10年10月10日
マイカテゴリ:[ コラム ]

大好きな父が9月末に日本からやって来ました。

6月に咽頭がんとの診断を受け、その後36回の

放射線治療。後半は、のどのただれがひどくなりましたが、

完全に治療を終え、私の息子にプレゼント用の自転車と

日本食を段ボール箱に入れ、母と日本から来たのです。

 

 

職人の父は、刃物にうるさく、

来豪のたび、包丁を研いでくれるのです

、両親が来る直前、夫が誤って砥石を廃棄してしまったため、

今回は包丁の手入れは諦めていました。

そして滞在中、両親を連れて近所のモールに連れて行ったのですが、

父は包丁が陳列されているお店にすたすた入っていくのです。

そんな父を遠くから目で追ったのですが、

いつの間に、小さく丸く曲がった背に驚きました。

そして、父は

手を後ろに組んでうなずきながら砥石を眺めていました。

「オーストラリアはこんなものが高いんだな」と言いつつ、

砥石を一つ買ってくれましたが、

その時、父の後ろ姿から、なんとも言えない

深く、あたたかい思いというか、

そんなものをじわ~っと感じぜずには

いられませんでした。そして、その晩は、なぜか涙をこらえることが出来ませんでした。

 

昔、父はアル中で、暴力も激しい人でした。

特に、私が中学生の頃は、そんな父を憎んでいました。

父が家にいることを疎んでいました。

しかし、貧乏と暴力でおかしくなりろうな家庭を

母は父を支え切っていました。

母の、執念が父を変え、二人で経済苦も病魔も

乗り越え、悠々と、旅行に来ることが出来るようになったんです。

 

滞在は1週間という短い期間でしたが、家の近所をサイクリングしたり、

クジラを見たり、モートン島ではヘリにのって

島を一望し、「こんな夢のような島を見られるのは幸せだ」と

喜んでいました。砂すべりもし、4輪のバイクにも乗って、

子供のように喜んだ父の様子をみることが出来ました。

また、そんな父の様子に、母もとても嬉しそうでした。

帰る前の日、父は私の夫をそっと呼んで、「恵美子に内緒にしてね。ガソリン代のたしに

して下さい。1週間お世話様でした。」と、そっとお金を渡していました。

(この会話の一部始終を陰で聞いた私は、夫からお金を恐喝です♪)

 

両親が帰国したあと、料理をするたび、よく切れる包丁に

「やっぱりじいちゃん、凄いね!」と、長男のレオンが

驚いています。

 

ちいさな家族の、偉大な歴史を感じた一週間の出来事でした。。。。

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